最近サーフィンを始め、五十嵐 カノア(いがらし かのあ)さんや都築 有夢路(つづき あむろ)さんのようにショートボードに乗りたい人が増えています。
サーフィンと言えばチューブ(トンネルのような筒状の波)を潜り抜けるイメージがあります。
また、東京2020オリンピックで五十嵐カノアさんが準決勝のガブリエル戦で見せたエアリバ―スのように飛ぶイメージの人も少なくありません。
今回はこれからサーフィンを始める初心者の方から中級者の方へ、ショートボードのメリットデメリットに加えてショートボードの選び方とおすすめのショートボード10選をご紹介いたします。
色々なブランドのおすすめをご用意しましたので、参考になれば嬉しいです。
ショートボードを使うメリット
タイトで切れのあるターンができる
ショートボードの最大のメリットは、オフザリップやラウンドハウスカットバックといった、アグレッシブでパワフルなトップアクションができる事です。
ショートボードは小回りが利くため、プロサーファーにもなるとトップアクションの時にサーフボードが180度以上回転します。
波のボトムからオフザリップなどの切れのあるターンを繰り返すライディングを可能とするのがショートボードです。
ダイナミックで格好いい様々な技ができる
ダイナミックで格好いいサーフィンを可能とするのがショートボード。
ダイナミックなサーフィンと聞いて、五十嵐カノアさんがオリンピックの準決勝で見せたエアリアル(波のトップから飛出す技)を思い浮かべる人も多いです。
ショートボードはその名の通り、6‘11ft(約207.5cm)以下の短いサイズのサーフボードを指します。
そのため、コントロール性能が高く、波のパワーを最大限に活かしたサーフィンを可能とし、エアリアルだけでなく、レイバックやフローターなどのショートボードならでは技も多くあります。
ドルフィンが楽にできる
ショートボードは沖に向かってゲッティングアウトする際のドルフィン(波の下をくぐる技術)が非常に楽にできます。
ショートボードは浮力が低く、沈ませる際の抵抗が少ないため、初心者がドルフィンのコツを身に着ける事にも適しているのです。
ドルフィンを習得することで徐々に大きなサイズの波へも挑戦できるため、サーフィンの楽しみ方の幅が広がり技術も向上します。
パーリングしてもサーフボードが折れにくい
ショートボードはパーリング(テイクオフ時にサーフボードが波に刺さる事)になった場合でも、ロングボードと比べると折れにくいです。
その理由は、パーリングの時にサーフボードに波の衝撃を受ける面積が小さいから。
そのため、掘れた波や大きくパワーのある波ではない限り、ショートボードは比較的折れづらいと言えます。
ロングボードと比べて手ごろな価格
20万円程するロングボードと比べて、ショートボードは新品でも10万円程度のためお手ごろな価格で購入できます。
金額差の大きな原因として挙げられるのは人件費と材料費です。
ロングボードは9ft(約270cm)以上あり、ショートボードの約2倍の長さがあるため、材料費やシェイパーの人件費の差が出ていると言えます。
そのため、ショートボードは比較的、購入しやすい価格です。
車に積込みやすく移動しやすい
ショートボードは長い物でも6‘11ft程度のため、車内に積込んで移動ができます。
サーファーあるあるとして、1ラウンド目と2ラウンド目で別のポイントに移動することは多々あることです。
その際、移動の度にキャリアに縛り付けていては時間がかかり、もどかしくもなります。
移動はすぐにできるに越したことはないのです。
ショートボードは車内積みのため容易に積込め、移動しやすい便利なサイズと言えます。
ショートボードを使うデメリット
波待ちが安定しづらい
ショートボードは非常に不安定で波待ちの際にも体幹を使います。
短い・薄い・細いが特徴のショートボードは、浮力が小さく安定感が低いため、サーフボードの上に座り続ける波待ちの体勢でも体幹を常に使うもの。
ショートボードを使う際は、バランス力がない人には波待ちするだけでも非常に難しく、落ち着いて長時間の波待ちが難しいです。
パドリングが進みづらい
ショートボードはパドリングが進みづらいです。
前述した通り、ショートボードはサイズが小さく安定感がないため、パドリングの際に左右に揺れるため抵抗が生まれ、前に進みづらいです。
はじめてショートボードを使う場合は、厚みと幅のあるモデルを選ぶと浮力が増し、左右への揺れも多少軽減できます。
テイクオフが難しい
ショートボードはロングボードと比べてテイクオフが非常に難しいです。
浮力が低いショートボードは波の力を受けづらく不安定なため、手をつく位置が少し変わるだけでテイクオフを失敗します。
ショートボードでテイクオフを上手く行うには、波のピークを見定めて、テイクオフの際にサーフボードのバランスが崩れない位置に手をつく必要があります。
パーリングしやすい
ショートボードは短く、ノーズが刺さりパーリングがしやすいです。
ショートボードは乗る位置が5cm変わると大きくバランスが崩れ、簡単にノーズが沈みます。
その状態でテイクオフを試みるとパーリングします。
サーフボードに乗る位置が非常に重要となり、テイクオフがパーリングせずに安定するまで時間がかかります。
レールtoレールができなくてもターンが出来てしまう
ショートボードはターンが非常に簡単にできるため、レールを使わずにターンが出来てしまいます。
短くコンパクトなショートボードは、腕の振り一つでサーフボードの進行方向を変えることができ、波の力を無視してしまうのです。
ボトムターンの際にレールをしっかりと使わないと、スピードが得られずに直後のトップアクションに繋げられなくなります。
ショートボードの選び方
体形(身長・体重)に合ったショートボードを選ぶ
ショートボードは自分の身長と体重に合わせて選ぶ必要があります。
適正体重が決まっており、サーファーの体重に合った浮力のショートボードを選ぶことが重要です。
また、身長の高い人がショートボードの中でも短いサイズを選ぶと前後のバランスを取りづらく、パドリングもままならなくなります。
安定したパドリングとテイクオフを前提としてショートボードを選ぶには、自分の体形に合わせて選ぶ事が最も大切と言えます。
自分のレベルに合ったショートボードを選ぶ
ショートボードは自分のレベルに合わせて選ばなければなりません。
極端な例ですが、プロサーファーは波のパワーゾーンをピンポイントで捉えるため、使っているショートボードは浮力が非常に低いです。
彼らと同じショートボードでは、一般のサーファーではテイクオフもできないサイズを使っています。
このように、自分のレベルを把握しなければ最も自分のレベルに合ったショートボードを選ぶことができず、技術の向上は非常に難しくなるのです。
目的に合わせてショートボードを選ぶ
サーファーには、技術を向上させるためのショートボードと、所有しているショートボードでは苦手なコンディションの波でもサーフィンを楽しむためのショートボードがあります。
技術の向上が目的の場合、現在使用しているショートボードと似たデザインを選び、波のコンディションに合わせる場合は現在とは違った性能のショートボードを選ぶ必要があります。
自分が技術の向上を目的としているのか、多くのコンディションの波を楽しむことを目的としているのかによって、選ぶショートボードが大きく変わるのです。
ホームポイントの波質に合ったショートボードを選ぶ
自分が頻繁に行くサーフポイント(ホームポイント)の波質によって向き不向きのショートボードがあります。
波がなかなか切立たず重い波質のサーフポイントでは、揚力(波の力による推進力)がありロッカー(サーフボードの反り)の緩いショートボードが必要です。
反対に、パワーが強く反り立った波に対しては揚力を抑え、ロッカーの強いショートボードが求められます。
このことから、ショートボードを選ぶ際にホームポイントに合ったモデルを選ばなければ、テイクオフが出来ない可能性や最悪サーフボードを折ってしまう場合があるのです。
憧れのサーファーやサーフスタイルに合わせてショートボードを選ぶ
サーフィンをするうえで、何人かは憧れのサーファーと目指すサーフスタイルがあると思います。
ショートボードを選ぶ際に憧れのサーファーやサーフスタイルに合ったモデルを選ばなければ、全く目標に近づきません。
ハングファイブやハングテンがやりたい人はショートボードを選ばないのと同じです。
ショートボードには乗り方に合わせたモデルがあり、例えば切れのあるトップアクションがやりやすいモデルや、緩いマニューバーを描くモデルなどがあります。
どちらのモデルも似たライディングは可能ですが、本来の性能とは違った乗り方となるため無理が生じます。
そのため、憧れのサーファーやサーフスタイルに合わせたショートボードを選ぶ事で比較的簡単に練習ができ技術が習得できます。
好きなサーフブランドの中からショートボードを選ぶ
Channel Islands(チャネルアイランズ)やFIREWIRE(ファイヤーワイヤー)など、サーフィンには多くのブランドがあり、皆さんにもお気に入りのブランドが1つや2つはあると思います。
数多くのサーフブランドがあり、選ぶ際の悩みの種となる事もありますので、お気に入りのサーフブランドからショートボードを選ぶのも良いでしょう。
お気に入りのブランドであれば、気持ちと共にコンディションの向上にも繋がります。
そのような選び方も1つのサーフィンの楽しみ方だと思います。
ショートボードおすすめ10選
【JS Industries】
SUB XERO PU
最初にご紹介するのはJS Industries(JS インダストリーズ)のSUB XERO PUです。
オーストラリアのトップシェイパー、ジェーソン・スティーブンソンが小波用に求められる要素を全て詰め込んだショートボード。
サイズ5’7ftのショートボードの中では高浮力の32.0Lもある事に加えて、ノーズ・テール共にロッカーが緩く、アウトライン(形)も揚力があります。
そのため、初心者~初級者にはテイクオフの練習、中級者以上にも膝~ももサイズの小波でも反応するターン性能がおすすめのモデルです。
【MIKE SHAPES】
STINGER
このスティンガーは、シェイパーのマイクが早いテイクオフとキレのあるターンが可能となるようにこだわりを詰込んだショートボードです。
ロッカーをやや緩めにし、フィッシュテールを採用したことで、小波でも波のパワーをしっかりと受ける事が出来ます。
また、サイドフィン横にあるウィングレールにより、小波でもターンがしやすいアウトラインです。
また、何と言っても価格も安いため、エントリーモデルとしてもおすすめします。
【FIRE WIRE】
EL TOMO FISH
ロブ・マチャドやケリー・スレーターがライダーとして注目を集めるFIRE WIREから、小波で秀でるようにデザインされたのがEL TOMO FISH(イー エル トモ フィッシュ)です。
緩めのロッカーにダブルダイヤモンドテールと、小波でもしっかりと波のパワーを受ける初心者にもおすすめの形状。
ダブルダイヤモンドテールにより自由なリリース性が実現され、何時でもハイパフォーマンスなライディングが可能なため、中級者以上も楽しめます。
【TOPQ Surfboard】
TEC FISH
TOPQ Surfboardは、2012年にポルトガルで誕生したEPS(エポキシ)素材のサーフボードのみ取り扱うブランドです。
なかでもこのTEC FISH(テック フィッシュ)はスピードが出るモデル。
EPS素材なので、ショートボードの取扱いに慣れない初心者でも取扱いが容易で、フロー感が強い素材のためエントリーモデルとしてもおすすめします。
テール部分のレールが薄く、ターン性能も高いため、中級者にも小波ボードとしておすすめの1本です。
【CHANNEL ISLANDS】
CI FISH
サーフボードブランドで最も有名なCHANNEL ISLANDSからCI FISH(シーアイ フィッシュ)の紹介です。
パフォーマンスボードで培われた技術をパワーレスな波で本領を発揮するFISHデザインに落とし込み、パフォーマンスツインとして作り上げたのがこのモデルです。
ノーズにもボリュームがあることにより、小波でも早く安定したテイクオフを可能としているため、初心者でも簡単にテイクオフができるのは魅力。
日本のパワーのない波でもしっかりとリップアクションが可能な人気モデルです。
【FIRE WIRE】
SEA SIDE
スタイルマスターとして有名なロブ・マチャドがデザインするクワッドフィッシュがこのモデルです。
小波やパワーレスな波をターゲットにするため、より軽量でレスポンスとフレックスが良いヘリウム素材を採用しております。
そのため、パワーレスな日本の波でも、初心者から上級者まで多くのサーファーに適したショートボードです。
【Chilli Surfboards】
SUGAR
ジェームス・チールが創設したChilli Surfboardsから、スピードとリップアクションに優れたモデルがこのSUGAR(シュガー)です。
イーグルノーズを使い、ノーズエリアの浮力を確保することでパドルスピードを得ています。
また、ローレールの採用により、抵抗なくレールが海面をとらえてトップアクションに繋げられます。
そのため、初心者のテイクオフ練習から中級者のトップアクション練習にもおすすめです。
【LOST】
LIBTECH PUDDLE LOST
「最もエキサイトする小波用サーフボード」を掲げるLIBTECH PUDDLE LOST(リブテック パドルジャンパー)は、ノーズまで幅をもたせた小波に特化したショートボードです。
テール部のストレートレールとVeeのコンビネーションにより揚力が向上しているため、初心者には特におすすめのモデル。
幅が21inと広く、パドリングからテイクオフまでのバランスが安定するため、まだテイクオフが安定しない人には特におすすめしています。
【FIRE WIRE】
SCI-FI2.0
FIRE WIREとレジェンドサーファー、ケリー・スレーターのコンビネーションで生み出されたSCI-FIのアップデートモデルです。
前モデルよりも浮力を増やし、緩いテールロッカーにより小波でも高いパフォーマンスを発揮するようチューンアップしてあります。
特徴的なテールデザインは、独自のコンケープと合わさることでスピード感とターン性能が向上。
初心者のテイクオフ練習から中級者のターンの練習まで、幅広いサーファーに適したショートボードです。
【DHD】
MINI TWIN II
チームライダーにミック・ファニングが所属するDHDから、MINI TWIN II(ミニ ツイン ツー)のご紹介です。
短く乗れるようにノーズからセンターの幅があるこのモデルは、小波でも減速しないようにできています。
テールのフィッシュ形状も浅めに作られているため、ターンの反応が良く、中級者でも楽しめるショートボードです。
もちろん幅があるアウトラインにより安定したパドリングと早いテイクオフが実現されているため、初心者にもおすすめの1本。
まとめ
テイクオフがやりやすい、浮力が高めかつテール形状がフィッシュやスワローのショートボードを多くご紹介してきました。
サーフィンのレベルに合わせて浮力やアウトラインを変えると大きくサーフィンの世界が変わります。
これからもサーフィンを是非楽しんでください。
ショートボードの購入で失敗しないために、各ショッピングサイトのレビューもしっかり確認して自分にピッタリなモノを見つけましょう。
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