外皮が毛羽だったり、劣化して硬くなったロープは買い替えが必要です。
特に、トライを数多く重ねたり泥や汚れが付着するとロープの劣化が早く、買い替え頻度が増します。
ロープは1本数万円程度で、買い替える際、安いものを選びたくなります。
一方、ECサイトで検索すると、クライミング用と謳ってあるにもかかわらず、クライミングに使用できない粗悪品が多く、注意が必要です。
今回は、安いクライミングロープの選び方とおすすめ品を紹介します。
目次
- 1 安いクライミングロープを使うメリット
- 2 安いクライミングロープを使うデメリット
- 3 安いクライミングロープの選び方
- 4 安いクライミングロープおすすめ10選
- 4.1 【PETZL】コンタクト ウォール(R33AD 040)
- 4.2 【MAMMUT】9.8 Crag Classic Rope(2010-04270)
- 4.3 【MAMMUT】8.0 Alpine Classic Rope(2010-04340)
- 4.4 【Edelweiss】マグネティック(EW0128)
- 4.5 【BEAL】カルマ(BE11401060001)
- 4.6 【BEAL】ゼニス(BE11106501001)
- 4.7 【BEAL】コブラIIユニコア ドライカバー(BE11028503001)
- 4.8 【EDELRID】BOA(710790502000)
- 4.9 【EDELRID】STARLING PRO DRY(712370500170)
- 4.10 【TENDON】MASTER 9.7(D097TV41S000C)
- 5 まとめ
安いクライミングロープを使うメリット
クライミングに掛かる費用を抑えられる
クライミングは初期投資として、ロープをはじめ、クライミングシューズ、カラビナ類、各補器などの道具の購入費が掛かります。
また、道具を揃えてからもクライミングシューズのリソール代や交通費など、定期的にお金が必要です。
安いロープを選択することで、道具の更新費を抑えられるメリットが有ります。
ロープの傷みを気にせず使用できる
ロープは墜落を重ねたり、汚れや泥が付着すると劣化が早まります。
高価なロープを使うと劣化が気になり、思い切ったトライができなかったり、ロープを大切に扱いすぎて行動が遅くなることが考えられます。
価格が安いロープを使うことで多少の劣化や汚れを気にせず、クライミングに集中できるのがメリットです。
安いクライミングロープを使うデメリット
粗悪品に注意が必要
ECサイトなどで安いロープを検索すると、クライミング用と謳ってあるものの、クライミングに到底使用できない粗悪品を多数見かけます。
粗悪なロープを使用してのクライミングは、事故に繋がり大変危険です。
クライミングロープを購入する際は値段だけではなく、ダイナミックロープである事、各安全基準を満たしている事を確認してください。
ロープの加工がないものが多い
多くの場合、安いクライミングロープでは、撥水加工や外皮と芯の接着加工など、ロープの加工を省略しています。
一方、加工を省略したロープは水を吸って重たくなったり、凍ったりなどがデメリットです。
また、撥水加工など加工を施したロープは外皮が毛羽立ちにくく、コスパの面で、加工を省略した物より有利な場合が有ります。
径が細く軽いロープがない
価格を優先したロープは、外皮の編み込みや加工がオーソドックスになりがちなため、極端に細いロープや軽いロープが有りません。
重さと価格はある程度比例関係があり、ロープの価格が安くなると体積が大きく、重たくなります。
価格の安いロープを使うためには、自分のバックパックの空き容積や自分の体力にも配慮して下さい。
安いクライミングロープの選び方
安全規格
粗悪なロープを購入しないために、安いクライミングロープ購入する際は、クライミング用の安全基準を満たしているか確認してください。
主な安全基準は、ヨーロッパ規格のEN 892と、国際山岳連盟のUIAA101です。
EN 892は「外皮のずれ・伸び率(静荷重)・伸び率(動荷重)・衝撃荷重・耐墜落回数」の5項目を準拠する必要があります。
UIAA101はダイナミックロープの試験規格となっています。
ダイナミックロープかスタティックロープか
購入しようとしているロープがダイナミックロープか、スタティックロープかのチェックも重要です。
クライミングに積極的に使用できるロープはダイナミックロープです。
墜落時にロープが良く伸びるため、クライマーや支点にかかる衝撃を緩和できます。
一方、スタティックロープは伸縮しないよう設計されているため、クライミングには向いていません。
長さ
ロープの長さも値段を左右する大切な要素で、ロープが長いと価格は上がり、短いと下がります。
一般的にインドアクライミングでは30~50m、アウトドアクライミングでは50~70mの長さのロープが使用されます。
自分の用途に合わせてロープの長さを選択し、費用を抑える事を検討してみて下さい。
太さと重さ
ロープの太さや重さは、値段とある程度比例します。
安いロープはどうしても径が太く重たくなってしまいがちです。
一方で、太いロープは耐衝撃性が高く、また握り易いため確保(ビレイ)の操作性が上がります。
初心者の方は、自分のビレイデバイスが対応するロープの太さをチェックして、コストと操作性に優れる太めのロープを選択すると良いでしょう。
ロープの種類
クライミングロープの種類はシングル、ダブル、ツインの3つです。
シングルロープは1本で使用します。
屈曲のないルートやジムでの使用に向いており、耐久性が高いのが特徴です。
ダブルロープは、2本のロープを交互に支点に掛けて使用します。
アルパイン、アイスクライミングに向いており、屈曲の多いルートでロープの流れを良くしたり、墜落時の衝撃を分散出来るのが特徴です。
ツインロープは2本を1本とみなして使用するロープです。
ロープの加工
安いクライミングロープには、加工が省略されている物が多いですが、加工が施されたものも有ります。
ドライ加工は、ロープ表面に撥水加工を施し、被水してもロープが重たくなる、凍る等のトラブルを避けることが可能です。
ユニコアは、外皮と芯を接着することで、外皮と芯のずれを防止しロープが長持ちします。
メーカー
クライミングロープの価格はメーカーでも違いがあります。
比較的低価格のロープを出しているメーカーとしては、BEALやMAMMUTが挙げられます。
ロープのバリエーションも多く、価格以外にも選択肢が多いのが特徴です。
一方で、PeztlやEdelweissは、クライミング技術に対する研究に熱心なメーカーです。
比較的高額な一方、耐墜落回数に優れるものや、ロープ加工にこだわっている物があり、コスパに優れるロープを取り揃えています。
価格帯
安いクライミングロープの価格帯の目安は、概ね50mで2万円前後です。
撥水加工や芯に加工が施されているものは2万5000~3万円程度となります。
ロープは海外製の物が多く、為替や物価の影響で価格が変動する点は、注意してください。
また、極端に安いロープは粗悪品だったり、クライミングには使用できない物の可能性があります。
安いクライミングロープおすすめ10選
メーカー名・製品名 | 種類 | ロープ径 | ロープ加工 | 耐墜落回数 |
---|---|---|---|---|
PETZL コンタクト ウォール | シングル | 9.8mm | エバーフレックス処理 | 7回 |
MAMMUT 9.8 Crag Classic Ropee | シングル | 9.8mm | 無し | 7~8回 |
MAMMUT 8.0 Alpine Classic Rope | ダブル ツイン | 8mm | 無し | 8~9回 |
Edelweiss マグネティック | シングル | 11mm | スーパーエバードライ | 15回 |
BEAL カルマ | シングル | 9.8mm | 無し | 9回 |
BEAL ゼニス | シングル | 9.5mm | 無し | 7回 |
BEAL コブラIIユニコア ドライカバー | ダブル | 8.6mm | ユニコア ドライカバー | 16回 |
EDELRID BOA | シングル | 9.8mm | サーモシールド | 7回 |
EDELRID STARLING PRO DRY | ダブル ツイン | 8.2mm | プロドライ サーモシールド | 15回(ダブル) 30回(ツイン) |
TENDON MASTER 9.7 | シングル | 9.7mm | コンプリートシールド | 7回 |
【PETZL】
コンタクト ウォール(R33AD 040)
クライミングジム専用の価格の安いロープを探している方はコンタクトウォールを検討してみて下さい。
エバーフレックス処理でロープを熱処理し、芯の耐久性を向上させています。
単位長さ当たりの重さは60gで決して軽量とは言えませんが、特別重たいわけでは有りません。
選択可能な長さが30m又は40mとなるため、購入時に注意してください。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.8mm |
ロープ加工 | エバーフレックス処理 |
耐墜落回数 | 7回 |
【MAMMUT】
9.8 Crag Classic Rope(2010-04270)
MAMMUTのロープの中でも、余計な加工が施されていないクラッシックなロープです。
ロープの加工がないため、低価格で購入可能、耐墜落回数も6~7回であるため、コスパに優れています。
一方、単位長さ当たりの重さが64gのため、重たく感じる方もいるかもしれません。
沢山トライを重ねて使い倒したい方におすすめです。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.8mm |
ロープ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 7~8回 |
【MAMMUT】
8.0 Alpine Classic Rope(2010-04340)
MAMMUTはダブルロープでも低価格なロープをラインナップしています。
耐墜落回数は8~9回、重量も42gと、価格を下げてもSPECは標準的な範囲に収まっている点が評価できるロープです。
種類 | ダブル ツイン |
---|---|
ロープ径 | 8mm |
ロープ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 8~9回 |
【Edelweiss】
マグネティック(EW0128)
マグネティックの購入価格は決して安くはありませんが、耐久性も含めるとコスパの非常に高いロープです。
耐墜落回数は15回で、最大級の耐墜落回数となっており、撥水加工であるスーパーエバードライを芯と外皮に施しています。
これにより、墜落時の衝撃や汚れによる外皮の損傷に強くなっており、耐久性に優れます。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 11mm |
ロープ加工 | スーパーエバードライ |
耐墜落回数 | 15回 |
【BEAL】
カルマ(BE11401060001)
カルマもロープの加工を省略して価格を重視した、シンプルなクライミング用ロープです。
ロープ径は9.8mmと操作性と携行性のバランスが良く、墜落回数は9回を謳っており、耐久性も確保しています。
最初のクライミング用ロープを探している初心者や、フリークライミングでガンガントライしたい方におすすめです。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.8mm |
ロープ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 9回 |
【BEAL】
ゼニス(BE11106501001)
カルマと同価格ながら、より細系で軽量化したロープです。
径を9.5mmでカルマより0.3mm細く、重さは1m当たり59gとカルマより2g軽くなっています。
これにより、携行性に優れたロープとなっているのが特徴です。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.5mm |
ロープ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 7回 |
【BEAL】
コブラIIユニコア ドライカバー(BE11028503001)
コブラIIユニコア ドライカバーは、表面のみに撥水加工を施すことで、価格を抑えたロープとなっています。
ダブルロープはアルパイン、アイスクライミングなど過酷な環境で使用されます。
本ロープは低価格ながら、撥水加工とユニコアが施されており、過酷な環境でも安心して使用可能です。
種類 | ダブル |
---|---|
ロープ径 | 8.6mm |
ロープ加工 | ユニコア ドライカバー |
耐墜落回数 | 16回 |
【EDELRID】
BOA(710790502000)
撥水加工の省略により、価格を抑えたロープです。
ロープ表面には、芯と外皮の密着性が向上するサーモシールド処理が施されています。
ロープ径は9.8mmで操作性も良いため、こちらも初心者におすすめできるロープです。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.8mm |
ロープ加工 | サーモシールド |
耐墜落回数 | 7回 |
【EDELRID】
STARLING PRO DRY(712370500170)
低価格ながら必要な機能をすべてそろえているロープです。
耐墜落回数15回、UIAA撥水加工、サーモ処理など、アルパインやアイスクライミングで使用するために必要な機能を備えています。
一方、動的伸び率が29%と30%を下回っており、墜落時の衝撃緩和が他のロープより数%劣る点に注意が必要です。
種類 | ダブル ツイン |
---|---|
ロープ径 | 8.2mm |
ロープ加工 | プロドライ サーモシールド |
耐墜落回数 | 15回(ダブル) 30回(ツイン) |
【TENDON】
MASTER 9.7(D097TV41S000C)
価格を抑えながら必要な機能を盛り込んだ、クライミングロープです。
主な機能として、表面を滑らかにするSBSシステム、撥水性と高強度UPのためのコンプリートシールド加工が挙げられます。
一方、黄色のロープはトラロープのように見えてしまう点や、ロープが固くなりやすい点に注意が必要です。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.7mm |
ロープ加工 | コンプリートシールド |
耐墜落回数 | 7回 |
まとめ
クライミングでロープは消耗品のため、出来るだけロープの費用を抑えたいと考えるのは、初心者から上級者まで同じです。
一方、低価格なロープには粗悪品も多く見かけるため、今回紹介した物を参考にロープを選んでみて下さい。
安いクライミングロープの購入で失敗しないために、各ショッピングサイトのレビューもしっかり確認して自分にピッタリなモノを見つけましょう。
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