クライミングロープを購入する際は、自分の用途やロープの特徴を正しく把握する事が必要です。
一方、初めてクライミングロープを購入する方は、ロープの長さや、特徴で悩まれる事が多いと思います。
そこで、クライミングロープを初めて購入する方におすすめしたいのが、長さ50mのロープです。
今回は長さ50mのロープにスポットを当て、メリット・デメリット・選び方を交えながら、おすすめのロープを紹介します。
目次
- 1 50mクライミングロープを使うメリット
- 2 50mクライミングロープを使うデメリット
- 3 50mのクライミングロープの選び方
- 4 50mクライミングロープおすすめ10選
- 4.1 【PETZL】マンボ(R32AC 050)
- 4.2 【PETZL】ルンバ(R21BR 050)
- 4.3 【PETZL】ボルタ ガイド(R36AO 050)
- 4.4 【MAMMUT】9.5 Alpine Dry Rope(2010-04220)
- 4.5 【MAMMUT】9.9 Gym Workhorse Classic Rope(2010-04310)
- 4.6 【Edelweiss】マグネティック(EW0128)
- 4.7 【Edelweiss】エリート(EW0047)
- 4.8 【BEAL】カルマ(BE11401060001)
- 4.9 【BEAL】アイスライン(BE11018504001)
- 4.10 【EDELRID】STARLING PRO DRY(712370500170)
- 5 まとめ
50mクライミングロープを使うメリット
価格が安い
日本の外岩クライミングでは、長さ50mまたは60mのロープが良く使用されます。
クライミングを始めたばかりの方は、ハーネス・カラビナ類・ビレイデバイスなどを買い揃える必要があり、お金が掛かります。
50mのロープは60mより短い分、購入時の価格を60mと比べて抑えられる点がメリットです。
取り回しが良い
クライミング初心者の方は、ロープの出し入れや振り分けなど、慣れていない動作に時間が掛かることがあります。
また、天候の悪化や事故などでは、素早く行動する必要があります。
50mのロープは60m以上のロープより短い分、カバンからの出し入れや振り分けを素早く行えるため、行動時間を短く出来る点がメリットです。
嵩張らない
外岩でロープを使う場合、目的地までロープを持ち運ぶ事が必要です。
ロープは束ねてまとめても体積が大きく、バックパックの容積を圧迫します。
50mのロープは60m以上と比較して体積が小さくなるため、バックパックの容積を節約できます。
また、ロープ径が細いものを選択することで、更に体積を減らす事が可能です。
対応用途が多い
ロープを使うクライミングは、インドアクライミングから外岩のルートクライミング・アイスクライミング・大滝登攀など、多岐に渡ります。
ロープの長さはインドアでは30~50m、外岩のフリークライミングやアイスクライミングでは50~70mが一般的です。
50mのロープはインドアでもアウトドアでもよく用いられる長さで、多用途に使用できます。
50mクライミングロープを使うデメリット
登攀速度が落ちる
マルチピッチクライミングで登攀速度を上げる方法の一つは、ピッチを切る回数を減らす事です。
例えば、300mのルートで60mのロープを最大まで伸ばすとピッチを切る回数は5回ですが、50mでは6回となります。
50mのロープは60m以上の物と比較してピッチを切る回数が増え、登攀時間が長くなることがデメリットです。
長いルートに対応できない
ワンピッチのフリークライミングは、登攀完了後に終了点にロープを掛け、ロワーダウン又は懸垂下降で地上に戻ります。
60mロープでは折り返しを考え、片道30mまでのルートを登攀可能ですが、50mロープで対応可能な距離は、それより短い25mです。
登攀距離を見誤り、ロープ長さが足りないと、思わぬ事故の原因になります。
短くなるのが早い
ハンギングや墜落を重ねると、クライマー側のロープとカラビナの擦れにより、クライマー側のロープ末端側が摩耗していきます。
外皮が摩耗したロープ末端は、切断して短くすることがありますが、50mロープは余裕代が少ない点がデメリットです。
また、長さに関わらず、極端に外皮が損傷したり芯が見えている場合はロープを破棄して下さい。
50mのクライミングロープの選び方
太さ
太いロープは耐衝撃性が高く、また握り易いため確保(ビレイ)の操作性が上がります。
価格も比較的安い物が多く、特に初心者の方は太めの径のロープを選択すると良いでしょう。
細いロープは、軽量でクリップし易く、OSやRPなど、ここぞというルートでパフォーマンスを求める方におすすめします。
また、自分のビレイデバイスが対応するロープの太さもチェックして、購入して下さい。
ダイナミックロープかスタティックロープか
購入しようとしているロープがダイナミックロープか、スタティックロープかは確実にチェックしてください。
ダイナミックロープは、墜落時にロープが伸びることでクライマーや支点にかかる衝撃を緩和できるため、積極的にクライミングで使用されます。
一方、スタティックロープは伸縮しないため、クライミングにあまり使用されず、懸垂下降や補助ロープとしての用途に向いています。
ロープの種類
クライミング用のロープには、シングル・ダブル・ツインの3種類があります。
シングルロープは1本で使用され、耐久性が高いのが特徴です。
屈曲のないルートやジムでの使用に向いています。ダブルロープは、2本のロープを交互に支点に掛けて使用します。
屈曲の多いルートでロープの流れを良くしたり、墜落時の衝撃を分散出来るので、アルパイン、アイスクライミングに向いています。
ツインロープは2本を1本とみなして使用するロープです。
安全規格
ヨーロッパ規格のEN 892と、国際山岳連盟のUIAA101の二つが主な安全基準です。
両基準共「外皮のずれ・伸び率(静荷重)・伸び率(動荷重)・衝撃荷重・耐墜落回数」の5項目を準拠する必要があります。
また、一部のロープは、角岩での耐切断性の規格、UIAA108に準拠しています。
ロープの加工
クライミングのロープには、様々な加工が施されたものがありますが、ドライ加工は代表的な加工のひとつです。
ロープ表面に撥水加工が施されており、被水してもロープが重たくなる、凍る等のトラブルを避けられます。
ユニコアは外皮と芯を接着する加工で、外皮と芯のずれを防止しロープが長持ちします。
また、山中で外皮に傷が付いて、外皮と芯がずれた事により、即ロープが使用不可となるトラブルを減らせるのが特徴です。
メーカー
50mのクライミング用ロープは様々なメーカーで取り扱いがあります。
PetzlやMAMMUTはクライミング用品全般を取り扱うメーカーで、その中にロープもラインナップされています。
MAMMUTはクライミングロープからスタートした実績あるメーカーです。
一方、EdelweissやBEALはロープ専門のメーカーで、ロープの加工や種類に定評が有ります。
価格帯
ロープの加工の有無・長さ・太さ・耐墜落回数などは、クライミングロープの価格を決める要素です。
加工が施されていたり、耐墜落回数が多いロープは価格が高くなる傾向があります。
一方で、ドライ加工やユニコアが施されたロープはそうでないものと比較して寿命が長くなります。
単純な価格比較だけでなく、耐墜落回数やロープに施されている加工をチェックし、コスパで判断してください。
50mクライミングロープおすすめ10選
メーカー名・製品名 | 種類 | ロープ径 | ロープ加工 | 耐墜落回数 |
---|---|---|---|---|
PETZL マンボ | シングル | 10.1mm | ウルトラソニックフィニッシュ | 7回 |
PETZL ルンバ | ダブル ツイン | 8.0mm | デュラテックドライ加工 | 7回(ダブル) 22回(ツイン) |
PETZL ボルタ ガイド | シングル ダブル ツイン | 9.0mm | UIAA ガイドドライ加工ウルトラソニックフィニッシュ | 5回(シングル) 20回(ダブル) 25回(ツイン) |
MAMMUT 9.5 Alpine Dry Rope | シングル | 9.5mm | Dry加工 | 8~9回 |
MAMMUT 9.9 Gym Workhorse Classic Rope | シングル | 9.9mm | 無し | 8~9回 |
Edelweiss マグネティック | シングル | 11mm | スーパーエバードライ | 15回 |
Edelweiss エリート | ダブル | 7.8mm | スーパーエバードライ ユニコア | 6回 |
BEAL カルマ | シングル | 9.8mm | 無し | 9回 |
BEAL アイスライン | ダブル | 8.1mm | ゴールデンドライ ユニコア | 6~7回 |
EDELRID STARLING PRO DRY | ダブル ツイン | 8.2mm | Pro Dry サーモシールド | 15回(ダブル) 30回(ツイン) |
【PETZL】
マンボ(R32AC 050)
10.1mmとロープ径が大きく、初心者でも扱いやすいロープです。
また外皮が厚く設計されており、末端部の外皮と芯を接着するウルトラソニックフィニッシュが施されています。
これにより、耐久性の高いロープとなっているのが特徴です。
また、ロープが半分の長さである事を示すミドルマークも施されています。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 10.1mm |
ロープ加工 | ウルトラソニックフィニッシュ |
耐墜落回数 | 7回 |
【PETZL】
ルンバ(R21BR 050)
ダブルロープで加工が施されているロープを探している方は、ルンバもチェックしてみて下さい。
表面に施されたデュラテックドライ加工は、濡れや汚れ、岩との擦れに強く、アルパインやアイスクライミングを楽しむ方におすすめの1本です。
EN 892、UIAAの両規格に対応した、信頼性の高いロープです。
種類 | ダブル,ツイン |
---|---|
ロープ径 | 8.0mm |
ロープ加工 | デュラテックドライ加工 |
耐墜落回数 | 7回(ダブル),22回(ツイン) |
【PETZL】
ボルタ ガイド(R36AO 050)
1本でどんなシチュエーションにも対応できるロープを探している方には、ボルタガイドをおすすめします。
径が9mmと細く、シングル、ダブル、ツインの全規格に対応しているため、補助ロープから、アルパインクライミングまで対応可能です。
また、ロープ表面のUIAAガイドドライ加工により、ロープの吸水が2%未満となるよう設計されています。
種類 | シングル,ダブル,ツイン |
---|---|
ロープ径 | 9.0mm |
ロープ加工 | UIAA ガイドドライ加工,ウルトラソニックフィニッシュ |
耐墜落回数 | 5回(シングル),20回(ダブル),25回(ツイン) |
【MAMMUT】
9.5 Alpine Dry Rope(2010-04220)
軽量さと耐久性を兼ね備えたロープです。
長時間歩くアルパインクライミングを楽しむ方や、フリークライミングで、アプローチの長い課題に挑戦している方におすすめのロープです。
表面のDry加工は吸水性1.5%未満を謳ており、耐久性の面でも信頼できるロープとなっています。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.5mm |
ロープ加工 | Dry加工 |
耐墜落回数 | 8~9回 |
【MAMMUT】
9.9 Gym Workhorse Classic Rope(2010-04310)
クライミングジム用に作られた高い耐摩耗性を備えたロープです。
余計なロープの撥水加工は省略され、価格を抑えたモデルとなっています。
また、外皮構造を最適化したことで、より滑らかな表面となっており、高い耐摩耗性を備えています。
インドアのクライミングを中心に、アプローチの短いフリークライミングなどに向いているロープです。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.9mm |
ロープ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 8~9回 |
【Edelweiss】
マグネティック(EW0128)
とにかく、高い耐久性が欲しい方はマグネティックを検討してみて下さい。
耐墜落回数は15回で、シングルロープとしては最大級の耐墜落回数となっています。
芯と外皮の撥水加工であるスーパーエバードライ、シャープエッジレジスタント規格の準拠により、高い耐久性と耐切断性を備えている点も特徴です。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 11mm |
ロープ加工 | スーパーエバードライ |
耐墜落回数 | 15回 |
【Edelweiss】
エリート(EW0047)
軽いダブルロープを探している方におすすめしたいのが、エリートです。
通常のダブルロープの重さが45g/m前後であるのに対して、エリートは39g/mで非常に軽量です。
また、ロープ径が細く、コンパクトに収納可能となっています。
一方、径が細く操作性が落ちる点と、耐墜落回数が6回である点には注意が必要です。
種類 | ダブル |
---|---|
ロープ径 | 7.8mm |
ロープ加工 | スーパーエバードライ ユニコア |
耐墜落回数 | 6回 |
【BEAL】
カルマ(BE11401060001)
ロープの加工を省略して価格を重視した、シンプルなクライミング用ロープです。
一方、墜落回数は9回を謳っており、耐久性も確保しています。
ロープ径は9.8mmと操作性と携行性のバランスが良い点も特徴です。
最初のクライミング用ロープを探している初心者の方におすすめです。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.8mm |
ドライ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 9回 |
【BEAL】
アイスライン(BE11018504001)
軽いダブルロープを探している方に、もう一本おすすめしたいのがアイスラインです。
エリートと同様に39g/mの軽さですが、ロープ径が8.1mmで若干太くなります。
これにより、収納時の体積は増えますが、ロープの操作性が向上します。
軽量さを求めつつ、操作性も欲しい方は、検討してみて下さい。
種類 | ダブル |
---|---|
ロープ径 | 8.1mm |
ドライ加工 | ゴールデンドライ ユニコア |
耐墜落回数 | 6~7回 |
【EDELRID】
STARLING PRO DRY(712370500170)
耐久性とコストパフォーマンスを追求したダブルロープです。
表面が熱処理されており、しなやかさを確保しています。
また、表面に施されたPro Dry加工で濡れや汚れに強く、外皮が毛羽立ちにくくなっています。
また、耐墜落回数はダブルロープ使用時でも15回を謳っており、耐久性に優れるロープです。
種類 | ダブル,ツイン |
---|---|
ロープ径 | 8.2mm |
ドライ加工 | Pro Dry サーモシールド |
耐墜落回数 | 15回(ダブル),30回(ツイン) |
まとめ
50mのクライミング用ロープは最もオーソドックスな長さです。
ジムでも、外岩でも使い勝手が良いロープが数多く販売されています。
自分の目的に合わせて、機能とコストのつりあったロープを選択してください。
50mのクライミングロープの購入で失敗しないために、各ショッピングサイトのレビューもしっかり確認して自分にピッタリなモノを見つけましょう。
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