ルートクライミングをいくらか経験すると、自分のロープが欲しくなると思います。
ルートクライミングの種類にはロッククライミング、アイスクライミング、沢登での大滝登攀などがあります。
ロープを購入する際は、それらクライミングの種類に合った長さや太さ、仕様の物を選択する事が必要です。
今回は60mの長さのロープにスポットを当てて、メリット・デメリット・選び方を交えながら、おすすめのロープを紹介します。
目次
- 1 60mクライミングロープを使うメリット
- 2 60mクライミングロープを使うデメリット
- 3 60mクライミングロープの選び方
- 4 60mクライミングロープおすすめ10選
- 4.1 【PETZL】アリアル(R34AC 060)
- 4.2 【PETZL】ルンバ(R21BR 060)
- 4.3 【MAMMUT】9.5 Crag Classic Rope(2010-04230)
- 4.4 【MAMMUT】8.0 Alpine Dry Rope(2010-04350)
- 4.5 【Edelweiss】エレメンツ(150803-05-b)
- 4.6 【Edelweiss】オキシジェン(EW0070)
- 4.7 【BEAL】カルマ(BE11401060001)
- 4.8 【BEAL】トップガンIIユニコア ドライカバー(BE11133603001)
- 4.9 【TENDON】MASTER 9.7(D097TV41S000C)
- 4.10 【EDELRID】SWIFT PROTECT PRO DRY(712890600220)
- 5 まとめ
60mクライミングロープを使うメリット
1ピッチを長くとれる
ロープを購入する際に注目するべき要素の一つが長さです。
屋外でのクライミングに使用するロープの長さは、50mか60mを選択することが一般的です。
60mのロープは50mに比べて10m余裕があるため、1ピッチの長さを長く取れます。
これにより、ピッチを切る回数が減るため、登攀速度を上げられます。
懸垂下降距離に余裕が持てる
懸垂下降は、岩場から撤退したり崖を安全に降りる必要がある場合に必須のスキルです。
一方で、懸垂下降中は下降器からのロープのすっぽ抜け等、事故が度々発生しています。
60mのロープは懸垂で下降距離を長く取れるため、ロープのすっぽ抜けや長さ不足の問題に対して余裕が持てるのがメリットです。
60mクライミングロープを使うデメリット
価格が高め
60mのロープは長い分、価格が高くなります。
コストを下げる工夫としては、ロープ長さや、太さを変更したり、撥水加工がされていないロープを選択する事が挙げられます。
60mのロープを購入される際は、メリットに見合う価格であるかもよく考えて購入するようにしましょう。
重たくなる
長い分、重たくなることにも考慮が必要です。
ロープが重たいと、岩場までのアプローチで疲れてしまったり、長いピッチの登攀中にロープの重さを感じやすくなります。
こうした状態でのクライミングは、パフォーマンスの低下や事故に繋がります。
60mのロープを使いこなすためには、体力と登攀力が必要であることに注意しましょう。
かさ張る
60mのロープは、それ以下の長さのロープに比べて体積が大きくなり、バックパックの容積を圧迫します。
ロープを本体と雨蓋の間に挟んで持ち運ぶ方法もありますが、長時間その状態で歩き続けるのは、ロープが木の枝等に引っ掛かり危険です。
ロープ径が細いものを選択することで、若干体積を減らす事が出来ます。
60mクライミングロープの選び方
太さ
10mm以上のロープの径が太くなると、耐衝撃性が上がり、握りやすくなるため確保(ビレイ)の際、操作性が上がります。
コストも比較的安い物が多いので、初心者の方は太めの径のロープを選択すると良いでしょう。
9.5mm程度の細めのロープは軽量でクリップし易く、リードクライミングで良いパフォーマンスを求める方におすすめします。
また、自分が持っているビレイデバイスが対応しているロープ径も忘れずにチェックして下さい。
ダイナミックロープかスタティックロープ
ロープを選ぶ際、チェックするべき重要項目として、ダイナミックロープと、スタティックロープが有ります。
ダイナミックロープは、伸び率が高く積極的にクライミングで使用されます。
墜落時にロープが伸びることで、クライマーや支点にかかる衝撃を緩和できるのが特徴です。
一方、スタティックロープは伸縮しないよう設計されたロープで、主にぶら下がって使用する用途に向いています。
本記事では主にダイナミックロープについて紹介していきます。
ロープの種類
クライミング用のロープの種類は3種類あります。
シングルロープは1本で使用し耐久性が高いのが特徴で、屈曲のないルートやクライミングジムに向いています。
ダブルロープは、2本のロープを交互に支点に掛けて使用するロープです。
屈曲が多いルートや、墜落時の衝撃を分散させられるので、アルパインクライミングやアイスクライミングに向いています。
ツインロープは2本を1本とみなして使用するため、直線的なルートに向いています。
安全規格
主な安全基準は、ヨーロッパ規格のEN 892と、国際山岳連盟のUIAA101の二つがあります。
EN 892の準拠には「外皮のずれ・伸び率(静荷重)・伸び率(動荷重)・衝撃荷重・耐墜落回数」の5項目を満たす事が必要です。
UIAA101もEN892と同等の安全基準を設けており、ロープを選ぶ際はこれらどちらかを準拠しているか確認しましょう。
また、日本国内で販売されるロープは、消費生活用製品安全法も準拠する必要があります。
ドライ加工
ロープを選択する基準として、ドライ加工の有無が有ります。
ドライ加工のロープは、沢登りやアイスクライミングなど、ロープが水に濡れる用途で活躍します。
ドライ加工によりロープが保水しづらく、重たくなる、凍る等のトラブルを避けられるのが特徴です。
また、汚れが付着し難く、ロープが長持ちするため、屋外での岩登り等でも効果を発揮します。
一方で、価格が高くなる傾向があるため、自分の用途に合わせてドライ加工の要否を検討してください。
メーカー
60mのクライミング用ロープ取り扱うメーカーは、クライミング用品を取り扱うメーカーと、ロープ専門メーカーに分けられます。
クライミング用品を多く扱う代表的なメーカーとしては、PetzlやMAMMUTが挙げられます。
一方、ロープ専門のメーカーは、EdelweissやBEALなどです。
各メーカーで、ドライ加工や価格に特徴があるので、比較検討してみて下さい。
価格帯
クライミングロープの価格はロープの加工の有無、長さ、太さ、耐墜落回数等で決まります。
ユニコア等の外皮と芯の加工しているロープや、耐墜落回数が優れるロープは、価格に対して寿命が長い場合が有ります。
価格だけではなく、ロープに施されている加工や耐墜落回数をチェックし、コスパで判断することをおすすめします。
60mクライミングロープおすすめ10選
メーカー名・製品名 | 種類 | ロープ径 | ドライ加工 | 耐墜落回数 | 伸び率(動荷重) |
---|---|---|---|---|---|
PETZL アリアル | シングル | 9.5mm | デュラテックドライ加工 | 7回 | 32% |
PETZL ルンバ | ダブル ツイン | 8.0mm | デュラテックドライ加工 | 7回(ダブル) 22回(ツイン) | 33%(ツイン) 32%(ツイン) |
MAMMUT 9.5 Crag Classic Rope | シングル | 9.5mm | 無し | 6 – 7回 | 33% |
MAMMUT 8.0 Alpine Dry Rope | ダブル ツイン | 8.0mm | Dry加工 | 9 – 10回 | 30% |
Edelweiss エレメンツ | シングル | 10.2mm | スーパーエバードライ | 11回 | 29% |
Edelweiss オキシジェン | ダブル | 8.2mm | スーパーエバードライ | 7回 | 30% |
BEAL カルマ | シングル | 9.8mm | 無し | 9回 | 36% |
BEAL トップガンIIユニコア ドライカバー | シングル | 10.5mm | ドライカバー | 12~13回 | 37% |
TENDON MASTER 9.7 | シングル | 9.7mm | コンプリートシールド | 7回 | 37% |
EDELRID SWIFT PROTECT PRO DRY | シングル ダブル ツイン | 8,9mm | プロドライ仕上げ | 6回(シングル) 18回(ダブル) 30回(ツイン) | 29%(シングル) 26%(ダブル) 26%(ツイン) |
【PETZL】
アリアル(R34AC 060)
9.5mmのロープ径ながら外皮が厚く、デュラテックドライ加工がロープ表面に施されています。
これにより、繰り返しトライするアウトドアのスポートルートから、過酷な環境のアルパイン、アイスクライミングまで1本でこなせる信頼性の高いロープです。
あらゆるジャンルを楽しむクライマーにおすすめの1本です。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.5mm |
ドライ加工 | デュラテックドライ加工 |
耐墜落回数 | 7回 |
伸び率(動荷重) | 32% |
【PETZL】
ルンバ(R21BR 060)
ダブルロープを探している方はルンバもチェックしてみて下さい。
こちらもデュラテックドライ加工が施されている為、沢登やアイスクライミングでの大滝登攀で、高いパフォーマンスを発揮してくれます。
色は赤/青の2色展開で、パートナーの持っているロープの色により、視認性の良い方を選択可能です。
種類 | ダブル,ツイン |
---|---|
ロープ径 | 8.0mm |
ドライ加工 | デュラテックドライ加工 |
耐墜落回数 | 7回(ダブル),22回(ツイン) |
伸び率(動荷重) | 33%(ダブル),32%(ツイン) |
【MAMMUT】
9.5 Crag Classic Rope(2010-04230)
MAMMUTのロープの中でも、クラッシックなロープです。
余計な表面加工やドライ加工が施されていない分、コスパに優れています。
一方で、単位長さ当たりの重量も59gと、特別重たいわけではありません。
これから、ロープワークを習得したり、トライを重ねたい初級クライマーにおすすめしたい1本です。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.5mm |
ドライ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 6 – 7回 |
伸び率(動荷重) | 33% |
【MAMMUT】
8.0 Alpine Dry Rope(2010-04350)
ドライ加工と高い耐墜落回数が特徴のダブルロープです。
特に耐墜落回数はダブルロープでありながら、9-10回が謳われており、信頼性が高くなっています。
重量も42g/mで、他のダブルロープと比較して軽量であるため、アプローチの長いアイス、アルパインクライミングやマウンテニアリングの補助ロープとして活躍します。
種類 | ダブル |
---|---|
ロープ径 | 8.0mm |
ドライ加工 | Dry加工 |
耐墜落回数 | 9 – 10回 |
伸び率(動荷重) | 30% |
【Edelweiss】
エレメンツ(150803-05-b)
表面にスーパーエバードライ加工を施工し、ロープ芯と外皮を融合したユニコアを採用しています。
これにより、過酷な環境でも凍結や濡れに強く高い信頼性を確保している一方、外皮と芯がずれず、操作性や耐久性に優れています。
価格は他メーカーより高いですが、墜落回数も11回を確保しており、寿命の長いロープを探している方におすすめの1本です。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 10.2mm |
ドライ加工 | スーパーエバードライ |
耐墜落回数 | 11回 |
伸び率(動荷重) | 29% |
【Edelweiss】
オキシジェン(EW0070)
ダブルロープで、スーパーエバードライ加工とユニコアが欲しいという方は、オキシジェンをチェックしてください。
PETZLのルンバより若干重たいですが、HD coverとパフォーム3により、ロープが岩に引っ掛かりにくく、衝撃吸収性に優れています。
登攀中のトラブル回避や、高い操作性を求めるクライマーにおすすめです。
種類 | ダブル |
---|---|
ロープ径 | 8.2mm |
ドライ加工 | スーパーエバードライ |
耐墜落回数 | 7回 |
伸び率(動荷重) | 30% |
【BEAL】
カルマ(BE11401060001)
ドライ加工を省略し、コスパを重視したシンプルなクライミング用ロープです。
低価格のロープながら、墜落回数は9回を謳っており、耐久性にも優れています。
天候が悪化してもすぐに対応できる、ワンピッチのフリークライミングや、レッドポイント狙いでトライを重ねたい方は検討してみて下さい。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.8mm |
ドライ加工 | 無し |
耐墜落回数 | 9回 |
伸び率(動荷重) | 36% |
【BEAL】
トップガンIIユニコア ドライカバー(BE11133603001)
耐墜落回数が12~13回と、耐久性の高いクライミング用ロープです。
また、UIAA108のシャープエッジテストにも合格しており、角岩での耐切断性も確保されています。
花崗岩のスラブ等岩とロープが擦れるルートに頻繁にトライするクライマーにおすすめしたいロープです。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 10.5mm |
ドライ加工 | ドライカバー |
耐墜落回数 | 12~13回 |
伸び率(動荷重) | 37% |
【TENDON】
MASTER 9.7(D097TV41S000C)
外皮の編み込みをSBSシステムとする事で、表面が滑らかになるよう加工されたロープです。
これにより、ビレイデバイスやカラビナと、ロープとの引っ掛かりが減少し、操作性の高いロープとなっています。
また、コンプリートシールド加工により撥水性と高強度も兼ね備えています。
微妙なロープの繰り出しを求める方は、検討してみて下さい。
種類 | シングル |
---|---|
ロープ径 | 9.7mm |
ドライ加工 | コンプリートシールド |
耐墜落回数 | 7回 |
伸び率(動荷重) | 37% |
【EDELRID】
SWIFT PROTECT PRO DRY(712890600220)
アラミド繊維を外皮に織り込んでいる一方で、伸び率も規格値内に収めている、耐切創性の高いダイナミックロープです。
ロープ径は8.9mmで、シングル、ダブル、ツインの全てのロープ種類として認定されています。
一方、シングルロープとして使用する場合は、墜落回数が6回となる点に注意が必要です。
種類 | シングル,ダブル,ツイン |
---|---|
ロープ径 | 8,9mm |
ドライ加工 | プロドライ仕上げ |
耐墜落回数 | 6回(シングル),18回(ダブル),30回(ツイン) |
伸び率(動荷重) | 29%(シングル),26%(ダブル),26%(ツイン) |
まとめ
クライミングにおけるロープは、文字通り命綱です。
命を預けるギアである一方、適切なロープを選ぶと、登攀時の頼もしい味方になります。
今回紹介したロープの特徴をしっかりと把握し、自分の目的に合ったロープを購入して下さい。
60mクライミングロープの購入で失敗しないために、各ショッピングサイトのレビューもしっかり確認して自分にピッタリなモノを見つけましょう。
さらに探したい方